もう一度観たいあの映画　VOL.46『タクシードライバー』

監督：マーティン・スコセッシ　主演：ロバート・デ・ニーロ
【STORY】
夜のニューヨーク、人種を問わず誰でも乗せ、危険な場所でもかえりみないタクシー・ドライバー、トラヴィス。ある日トラヴィスは、大統領候補の選挙事務所に勤める女性ベッツィーに一目ぼれして、デートに誘い出す。何を思ったかトラヴィスがデート先に選んだのはポルノ映画館。あきれ返ったベッツィーはトラヴィスを振り、彼から離れていく。鬱屈した精神状態の彼は、腐ったこの世の中を一掃するため、次期大統領候補のパランタインの暗殺を計画。拳銃を手に入れて、演説中のパランタインに近づくが…。

【REVIEW】
本作は、ベトナム戦争が終結した1975年の翌年、1976年に製作された映画です。タクシー運転手のトラヴィス（ロバート・デ・ニーロ）はベトナム戦争からの帰還兵で26歳、重度の不眠症を患っています。その彼の目から、当時のニューヨークの荒廃した風景がリアルに映し出されます。ごみ溜めのように汚れきった街にたむろするドラッグ中毒者、ポン引き、売春婦…、治安が悪いといったレベルではなく、犯罪の匂いしか感じられません。この街を洗い流したいと考えているトラヴィス、どこかに狂気を抱えている彼の行き場のないフラストレーションがひしひしと伝わってきます。そして、とうとう次期大統領候補のパランタインの暗殺を計画します。その時に用意した拳銃が驚愕です。リボルバー式のでかい拳銃2丁をガンフォルスターにいれ両脇に装備、コルト25口径は背中に、ワルサーはジャケットの袖に隠れるよう右腕に、合計4丁用意、さらにブーツにはナイフを隠します。（※拳銃の名称は不確かです。）
しかーし、演説中のパランタインを狙った暗殺は、護衛のシークレットサービスに見つかり、あえなく断念。矛先は裏社会へ。ヒモでポン引きのスポーツに騙されている売春婦の少女アイリス（ジョディ・フォスター）の救出に向かいます。トラヴィスの狂気…、破滅に向かって突き進む銃撃戦が始まります。

売春婦の少女アイリス、なんと当時13歳のジョディ・フォスターが演じています。本作ではアカデミー賞助演女優賞にノミネート、同年製作の「フリンキー・フライデー」ではゴールデングローブ賞主演女優賞にノミネートされています。
◇『フリンキー・フライデー』

売春婦アイリスのヒモでポン引きのスポーツにハーヴェイ・カイテルが…カイテルと言えば、この映画。
◇『レザボア・ドックス』

トラヴィスのタクシー運転手の同僚に、ピーター・ボイルが…ボイルと言えば、モンスター役のこの映画。
◇『ヤング・フランケンシュタイン』

選挙事務所で働くベッツィー（シビル・シェパード）のお気に入りのミュージシャンはクリス・クリストファーソン。スコセッシ監督は、前年にクリストファーソン主演でこの映画を撮っています。
◇『アリスの恋』